平家物語70 第3巻 金渡し〜The Tale of the Heike🪷

安元の頃、重盛は、 九州から妙典《みょうでん》という船頭を呼び寄せ、 人払いして親しく目通りをしたことがある。 「お前の正直を信頼して頼みがある。 ここに大枚三千五百両の金がある。 五百両は、そなたの使いに対するほんの志じゃ、 あとの三千両を持って宋へ渡り、 一千両は育王山《いくおうざん》の僧に寄付し、 …