【源氏物語676 第21帖 乙女31】大宮にとって、夕霧と雲井の雁はお手元で育てられてきたこともあり 二人が去ってしまって寂しくなることを宮は歎《なげ》いておいでになった。

ちょうどそこへ若君が来た。 少しの隙《すき》でもないかと このごろはよく出て来るのである。 内大臣の車が止まっているのを見て、 心の鬼にきまり悪さを感じた若君は、 そっとはいって来て自身の居間へ隠れた。 内大臣の息子たちである左少将《さしょうしょう》、 少納言《しょうなごん》、 兵衛佐《ひょうえのすけ》、…