【平家物語81 第4巻 源氏そろえ①】不審気な宮の面をみつめながら低く語る頼政の声は、宮の心に強くひびいた。「君は、天照大神より四十八世の御子孫、神武天皇より七十八代にあたらせられる尊い御方。

そのころ、後白河法皇の第二皇子、 以仁《もちひと》親王は、 三条の高倉に住んでいたので高倉宮とよばれていた。 彼は十五歳の年に、近衛河原の大宮の御所で、 世を忍ぶように、ひっそり元服した。 宮は才芸、人に勝れ、ご筆跡もまことにうるわしく、 側近のものを感心させていた。 世が世なら、皇太子にもなり、 皇位に…