【私本太平記3 第1巻 下天地蔵③〈げてんじぞう〉】🍶現執権高時の田楽好きも、狂に近いが、闘犬好みは、もっと度をこしたものである。鎌倉府内では、月十二回の上覧闘犬があり、武家やしきでさえ闘犬を養って‥

十数名の武者は、 みな小具足《こぐそく》の旅姿だった。 といってもあらましは、 足軽程度の人態《にんてい》にすぎない。 争いあって、一碗ずつの酒を持ち、 干魚か何かを取ってはムシャムシャ食う。 そしてやや腹の虫がおさまり出すと、 こんどは野卑な戯《ざ》れ口《くち》で果てしもない。 彼らには、片隅の先客など…