【源氏物語696 第21帖 乙女51】君は秋の除目《じもく》の時に侍従に任ぜられた。雲井の雁を忘れる時がないのであるが、大臣が厳重に監視しているのも恨めしくて、無理をして逢ってみようともしなかった。

源氏の公子はその日の成績がよくて進士になることができた。 碩学《せきがく》の人たちが選ばれて 答案の審査にあたったのであるが、 及第は三人しかなかったのである。 そして若君は秋の除目《じもく》の時に侍従に任ぜられた。 雲井《くもい》の雁《かり》を忘れる時がないのであるが、 大臣が厳重に監視しているのも恨…