源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸
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【私本太平記14 第1巻 大きな御手⑦】この盲少年は、父は地方の乱で早くに戦場で最期をとげ、母も、尼寺にという身の上なので、憲房が都へ伴い、さる公卿の許へ、琵琶の習得に通わせていたのである。
暇乞いは、先の夜にすんでいる。 それに伯父の憲房も、探題の正月行事でいなかった。 ふたりは一睡の後、湯漬など食べ、 旅支度にかかっていた。 すると、侍部屋の廊のかべを、 サラ、サラ、と撫でつつ人の近づいてくる気配がした。 そこの遣戸《やりど》をスウと開けて、 「おじ様、お名残り惜しゅうございます。 もう御…