【源氏物語699 第21帖 乙女54】 秋の彼岸の頃 源氏一家は六条院へ移った。中宮のおはいりになることは少しお延ばしさせた。おとなしい、自我を出さない花散里を同じ日に東の院から移転させた。

秋の彼岸のころ源氏一家は六条院へ移って行った。 皆一度にと最初源氏は思ったのであるが、 仰山《ぎょうさん》らしくなることを思って、 中宮のおはいりになることは少しお延ばしさせた。 おとなしい、 自我を出さない花散里を同じ日に東の院から移転させた。 春の住居《すまい》は 今の季節ではないようなもののやはり全…