【源氏物語700 第21帖 乙女55完】紅葉がむらむらに色づいて、中宮の前のお庭が非常に美しくなった。夕方に風の吹き出した日、中宮はいろいろの秋の花紅葉を箱の蓋に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。

九月にはもう紅葉《もみじ》がむらむらに色づいて、 中宮の前のお庭が非常に美しくなった。 夕方に風の吹き出した日、 中宮はいろいろの秋の花紅葉を 箱の蓋《ふた》に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。 やや大柄な童女が深紅《しんく》の袙《あこめ》を着、 紫苑《しおん》色の厚織物の服を下に着て、 赤|朽葉《く…