【源氏物語701 第22帖 玉鬘1〈たまかずら〉】年月はどんなにたっても、源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。個性の違った恋人を幾人も得た人生の行路に、夕顔の君がいたならと遺憾に思っていた。

年月はどんなにたっても、 源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。 個性の違った恋人を幾人も得た人生の行路に、 その人がいたならばと遺憾に思われることが多かった。 右近は何でもない平凡な女であるが、 源氏は夕顔の形見と思って庇護するところがあったから、 今日では古い女房の一人になって重んぜられもして…