【源氏物語702 第22帖 玉鬘②〈たまかずら〉】美しくて、すでにもう高貴な相の備わっている姫君は、乳母達と共に九州に行く事になった。普通の旅役人の船に乗せて立って行く時、皆はは非常に悲しがった。

乳母たちは母君の行くえを知ろうと いろいろの神仏に願を立て、 夜昼泣いて恋しがっていたが何のかいもなかった。 しかたがない、姫君だけでも夫人の形見に育てていたい、 卑しい自分らといっしょに 遠国へおつれすることを悲しんでいると 父君のほうへほのめかしたいとも思ったが、 よいつてはなかった。 その上母君の所…