【源氏物語703 第22帖 玉鬘③】少弐一家は姫君をかしずき立てることだけを幸福に思って任地で暮らしていた。夢などにたまさか夕顔の君を見ることもあったが、お亡くなりになったと悲しいが思うようになった。

金《かね》の岬《みさき》を過ぎても 「千早《ちはや》振る金の御崎《みさき》を過ぐれども われは忘れずしがのすめ神」 という歌のように夕顔夫人を忘れることができずに 娘たちは恋しがった。 少弐一家は姫君をかしずき立てることだけを幸福に思って 任地で暮らしていた。 夢などにたまさか夕顔の君を見ることもあった。…