【源氏物語705 第22帖 玉鬘5】長兄の豊後介だけは監の味方でなかった。「もったいないことだ。少弐の御遺言があるのだから、自分はどうしてもこの際姫君を京へお供しましょう」と母や妹に言う。

長兄の豊後介《ぶんごのすけ》だけは監の味方でなかった。 「もったいないことだ。 少弐の御遺言があるのだから、 自分はどうしてもこの際姫君を京へお供しましょう」 と母や妹に言う。 女たちも皆泣いて心配していた。 母君がどうおなりになったか知れないようなことになって、 せめて姫君を人並みな幸福な方にしないでは…