【私本太平記31 第1巻 ばさら大名⑥】病後の床あげを機に入道となった高時。同日、佐々木高氏も惜しげもなく髪をおろした。高時は「御家人の鑑ぞ」と、大いに愛で道誉《どうよ》という法名までつけてくれた。

春昼《しゅんちゅう》、酒はよくまわる。 又太郎もつよいたちだが、佐々木にも大酒の風がある。 城内の大庭には、紅梅白梅が妍をきそい、 ここには杯交のうちに気をうかがい合う両高氏の笑いがつきない。 はからずも、 これこそ“婆娑羅”な酒《さか》もり景色か。 「ときに……」と、 又太郎からたずねた。 「ぶしつけなれど…