唐国《からくに》に 名を残しける 人よりも ゆくへ知られぬ 家居《いへゐ》をやせん〜須磨についた源氏が口ずさんだ歌🌊

惜しからぬ 命に代へて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな と夫人は言う。 それが真実の心の叫びであろうと思うと、 立って行けない源氏であったが、 夜が明けてから家を出るのは見苦しいと思って 別れて行った。 道すがらも夫人の面影が目に見えて、 源氏は胸を悲しみにふさがらせたまま船に乗った。 日の長いころで…