浦にたく あまたにつつむ 恋なれば 燻《くゆ》る煙よ行く方《かた》ぞなき〜悲しく辛い思いをしている朧月夜の尚侍の返事は短いものであった。

浦にたく あまたにつつむ 恋なれば 燻《くゆ》る煙よ行く方《かた》ぞなき 悲しい思いをしている朧月夜の尚侍の返事は短いものであった。 〜須磨の浦の木を焼く海人でさえ 人目を隠す恋の火ですから 人目多い都にいる思いは くすぶり続けて晴れようがありません 【第12帖 須磨 すま】 尚侍《ないしのかみ》のは、 浦にたく…