扇の上に乗せられた夕顔の花【源氏物語 35 第4帖 夕顔 1】白き扇のいたうこがしたるを、「これに置きて参らせよ。枝も情けなげなめる花を」 とて取らせたれば‥

六条わたりの御忍び歩きのころ、 内裏よりまかでたまふ中宿に、 大弐の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、 とぶらはむとて、 五条なる家尋ねておはしたり。 御車入るべき門は鎖したりければ、 人して惟光召させて、 待たせたまひけるほど、 むつかしげなる大路のさまを見わたしたまへるに、 この家のかたはらに、 桧…