1. 期末テスト前の空気 - 『県立掬星台高等学校簿記部へようこそ』 | TALES 物語・小説
七月に入ると、地獄坂は別の顔を見せ始めた。梅雨が明けて、空の青さが一段濃くなる。朝の光はまぶしく、雨に沈んでいた石垣も少し明るく見えた。木々の葉は濃く、時々吹く風には新しい夏の匂いが混じっている。気持ちいい。そう思える瞬間は、たしかにある。ただし、それは坂が急でないという意味ではない。白い半袖シャ…