『キメラ―満州国の肖像』山室信一 その1 ――国民の存在しない国

――満州国は今後も世界史の中に残り続けるだろう。日本人が、この歴史をなかったことにすることは不可能である。 キメラ:満州国は、日本の傀儡国家であると同時に、一部の人びとにとっては理想の地でもあった。本書はこの両面について検討する。 文体は仰々しいが、論旨は明確でわかりやすい。 満州国が同床異夢の地であっ…