『未完のファシズム』片山杜秀 その1 ――日本軍の精神主義の起源

本書の特徴は、日本軍(主に陸軍)が精神主義に傾倒し暴走した原因を第1次世界大戦によるものと分析した点にある。従来の、日露戦争で驕りが生じ、昭和恐慌期に過激化したという定説に異議を唱える。 近代史、軍事史にそこまで詳しくないわたしのような読者も理解できるよう、柔らかい調子で書かれている。 日本軍の現実…