『未完のファシズム』片山杜秀 その2 ――日本軍の精神主義の起源

5 「持たざる国」の戦争 ドイツ用兵思想の系譜……小モルトケ(普仏戦争で従軍したモルトケの甥)の包囲殲滅戦略と、シュリーフェンの短期決戦主義が、日本陸軍に影響を与えた。 ドイツ帝国軍から学んだ殲滅戦思想は、1928年改訂の『統帥綱領』や続く『戦闘綱領』で教義化された。 その特徴は精神力に基づく包囲殲滅、…