綿貫六助「小松林⑤」『霊肉を凝視めて』より

五 哲二が凋れかへつて家にはいつてゆくと、もう酒の支度ができてゐた。 海の水ですつきりとした氣持になつてみると、あだつほいおたつよりも、ぎごちない倉吉爺の顏の方が やつばり哲二の氣に入つてゐるのであつた。お人好の爺に對して、しやあら/\として何も喰はぬげなおたつの顏つきが 彼には忌やにさへ思はれた。哲…