帚木の帖 一、ゲンジの君の性格。頭中将との友情。

(現代語訳) 「光るゲンジ」と名前だけが一人歩きした。出る杭は打たれるのが世の常だが、恥の上塗りをしないよう、細心の注意を払った女たらしぶりまで伝説に仕立て上げ、後世に伝える口軽もいる。しかし、ゲンジの君は常に人目を気にし、神妙な顔で用心していたので、ロマンスの噂は全く立たなかった。あの女たらしの交…