帚木の帖 十四 ゲンジ、空蝉の弟をそそのかす

(現代語訳) 左大臣の家に帰っても、ゲンジの君はすぐに寝付けない。「再び逢瀬を重ねる術を知らない自分だけど、それ以上に空蝉の胸中はどんなだろう」などと考えてしまい、煩悶するしかなかった。「至って普通の女であったが、身なりも悪くなく清潔感も漂う中流階級の人だった。さすが恋愛のプロフェッショナル。左馬の…