帚木の帖 十五 ゲンジ、また中川へ空蝉に逢いに行く

(現代語訳) ゲンジの君は、いつものように後宮に引きこもっていたが、ちょうどよい方位除けの日を待って、急に思い出したような素振りで、中川の家へ立ち寄った。紀伊のカミは驚いて「庭の水の手柄ですね」などと神妙な顔をして喜んでいる。弟には事前に昼間から「今日は姉さんに逢いに行く」と打ち合わせてあるのだ。一…