空蝉の帖 二 ゲンジの君、空蝉と軒端荻を覗く

(現代語訳) 入ってくるのが子供なので警備員も知らん顔だ。出迎えもしないから余裕で侵入できた。弟はゲンジの君を東側の入り口付近に立たせ、自分は南側の隅の部屋から高らかに戸を叩いて入って行った。室内の女官が「まあ、外から丸見えじゃない」とたしなめる。弟は、 「なんでこんなに暑いのに戸を閉めているの?」 …