空蝉の帖 四 ゲンジの君、夜明けの退散

(現代語訳) ゲンジの君は、近くに寝ている弟を揺り起こす。弟は、はらはらしながら寝ていたので、すぐに起き上がった。戸をそっと押し開けると、年寄った女官の声がして「あら、どなた?」と大声を張り上げたのだった。弟は「うるせえな」と思いつつ「僕だよ」と黙らせる。それでも「こんな夜更けに、どこへ行くんですか…