空蝉の帖 五 ゲンジの君の手紙に煩悶する空蝉

(現代語訳) ゲンジの君は、弟を車の後ろへ乗せて二条院に帰った。昨夜の顛末を物語って、「お前は子供だ」と口を酸っぱくする。空蝉の仕打ちを爪弾きにして、恨み節だ。弟はやりきれず、黙り込むしかなかった。 「こんなに嫌われているんだから、自己嫌悪してしまう。逢いたくないんだったら、返事だけでもしてくれれば…