夕顔の帖 七 コレミツの嫉妬

(現代語訳) ゲンジの君は太陽が天辺に昇る頃に目覚めた。格子の扉を跳ね上げる。荒廃した庭には人気がなく見渡しが良い。遠くの古ぼけた雑木林が不気味である。近くの草木も鑑賞に堪えうる物ではなく、秋野の野原が広がっていた。池も水草で覆われていて、ここは荒れ地になっているのだった。別棟には部屋があって、誰か…