夕顔の帖 十 ゲンジの君、夕顔の亡骸と対面する

(現代語訳) 日が落ちてからコレミツが二条院に来た。かくかくしかじかの触穢があると説明してあり、来る人も庭先で立ったまま用事を済まし、人気が少ない。ゲンジの君はコレミツを呼んで、 「どうだった? 手遅れだったのか?」 と言ったまま袖を顔に押し当てて泣き出した。コレミツも貰い泣きして、 「すでに息を引き取…