夕顔の帖 十四 空蝉、伊予に下る

(現代語訳) 伊予のスケは十月の初日に任地へと旅だった。ゲンジの君は「女官たちも一緒に旅立つのだろう」と心づくしのはなむけをする。他にも、こっそりと手の込んだ細工を施した櫛や扇を数多く、道中で奉納する手間をかけさせた祓え幣を贈り、あの薄い衣を一緒に返した。 巡り会うときの形見だけかと思っても涙で袖が…