若紫の帖 二 ゲンジ、若紫を発見する

(現代語訳) 日も長くなった夕暮れ時、ゲンジの君は、退屈なので深い霞にまみれて、あの柴の垣根の近くへ行ってみることにした。取り巻きたちは帰して、コレミツと一緒に覗く。目の前には西向きに仏を鎮座させ祈っている尼がいる。スダレを少し上げて、花を供えているようだ。中央の柱に寄りかかり、肘掛け椅子の上に経文…