若紫の帖 三 ゲンジの君、若紫の世話を申し込む。病の全快と帰京

(現代語訳) ゲンジの君は気分がすぐれないのに、雨がぽつぽつと降りはじめ、山風が吹き出した。滝の音も強まってくる。やや眠そうな経を読む声が、こんな場所で、ぼそぼそと聞こえてくるのだから、無神経な人にも悲しみを誘うだろう。ましてや煩悩の多いゲンジの君とあっては、寝付けるはずもないだろう。僧都が「夕方の…