末摘花の帖 三 ゲンジの君と中将の勝負。ゲンジ、末摘花に逢う

(現代語訳) ゲンジの君と頭中将は、さっきの琴の音を思い出した。あの粗末な住処も、別世界のようで心に焼き付いている。頭中将に至っては「もし、あんな場所に、凄い可憐な女が寂しく何年も住んでいたとしよう。私と結ばれて好きになってしまう女だったとしたら、私は恋に溺れて、世間からとやかく言われるかもしれない…