末摘花の帖 六 ゲンジの君、若紫と絵を描く

(現代語訳) ゲンジの君が二条院に戻ると、まだ大人になりきっていない若紫だが、とても美しかった。「同じ紅でも、こんないとしい色もあるのだな」と見つめた着物は、無地の桜色なのだった。柔らかく着こなして澄ましているのが、可愛いばかりである。昔気質の祖母君の躾で、お歯黒もまだつけていなかったので、化粧をさ…