藤野可織『パトロネ』-澱んだ空間を練り込む-

空間を読む。 藤野可織『パトロネ』(集英社 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「妹が大学に上がる年になった。私と同じ大学に入学することになり、綿足の澄んでいるワンルームマンションに引っ越してきた。」p.7 そこで私は五畳もある、お気に入りのロフトで生活することにした。 「ロフトは私をおさめる部屋と…