500字で読む日本文学〜『蜘蛛の糸』/芥川龍之介

― 小さな善意は救いとなるか。 芥川龍之介の『蜘蛛の糸』は、わずか数ページで「善と悪」「救いとは何か」を描き切った、非常に象徴的な短編です。地獄に落ちた男・カンダタが、かつて一度だけクモを助けた善行により、極楽からたらされた一本の蜘蛛の糸で救われようとする――という物語。 上へ上へと必死に糸をのぼるカン…