家(下)  島崎藤村 著

島崎藤村の『家』は、毎ページなんらかの引っ掛かりを感じる、濃すぎる家庭内メロドラマ。明治の終わり頃の東京の様子がわかるのも興味深く、大久保が郊外と書かれ、引っ越し先の厩橋のほうが都会の扱いです。当時は大久保で黒い袴を穿いた女の人が宗教の勧誘のようなことをしていたようで、第一章に出てくる説教エピソー…