プラトン『ティマイオス』(岩波書店 プラトン全集12 1975)

プラトンの後期対話篇に於けるソクラテスは、語り手でも対話者でもなく、もっぱら聴き手の位置にいる、日本の能の構成上でいえばワキの位置に控えながら、全体を無意識的に統括する主宰者の位置にある。主宰者は迎えいれた主賓を称え、主賓の最高の精神活動を受け止めるべく静かに聞き入る態勢をとる。 本書『ティマイオス…