大岡信『うたげと孤心』(集英社 1978, 岩波文庫 2017)

岩波文庫では191ページ、「『梁塵秘抄』という平安末期の歌謡集があって」とはじまる後半三章の後白河院の伝統芸能としての今様への関わりを論じている部分は、前半の和歌に関する論考との繋がりに緊密さが欠け、読者としては腰折れ歌のような印象を持ってしまうのも確かなのだが、王朝サロンの宴で供された言葉と声に…