うみうし海底書庫
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花と散るー無垢の辜
《一》 今から十数年前、戸津ケイヤはこの小さなベッドタウンにやってきた。経年劣化で濁った、外壁と蔦が印象的な古びたビル。その一室が、彼にとっての初めての城だった。 上京して間もないあの頃。新宿のゴミ捨て場で、昼間から酒を飲んでい、暇そうな中年男性から格安で借り受けたテナントだった。あの時の自分は、身…