beast of the Opera 二〈怪人〉

二〈怪人〉 翌日、セザールが学院内図書室に訪れると、席にロジェがいた。じっと本にかじりつき、頭を抱えている。読んでいるのは初歩的な製本作業に関する教本だった。なかなか動かないペン先を見るに、問題に躓いているのだろう。「どうしたのロジェ」 小声で話しかけると、それに気がついたロジェは天の恵みか、と言わ…