世界を「読む」という欲望について

高山宏『殺す・集める・読む』は文庫本ながら*1 彼らしい稀有壮大な仮説に満ちた文化史的ミステリー論だ。冒頭を飾る三つの論文はシャーロック・ホームズについてのものだが、そのなかで高山は、十九世紀末にピークとなった推理小説ブームの土壌である当時の情報環境を、「過剰な根茎(リゾーム)状の混沌」と評している(…