3-04『苦海浄土』石牟礼道子

生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに 海の上はほんによかった。じいちゃんが艫櫓ば漕いで、うちが脇櫓ば漕いで。 いまごろはいつもイカ籠やタコ壺やら揚げに行きよった。ボラもなあ、あやつたちもあの魚どもも、タコどもももぞか(可愛い)とばい。四月から十月にかけて、シシ島の沖は凪でなあ――。 ・・・ 舟の上は…