新たな「人間疎外の時代」、世界共通の不安の中にかすかな希望

なんだろうこれは、と思いながらも画面の中へと引き込まれ、心地よい気分のまま最後まで見ると、映像の意味をあれこれ考えてしまう。イスラエルのパレスチナ人、エリア・スレイマン監督の『天国にちがいない』(2019年、102分)は「まさしく映画」と言える。つまり、場面場面がしっかりとした美しい絵で繋がれ、余計なセリ…