鉄面皮 (太宰 治)

 安心し給(たま)え、君の事を書くのではない。このごろ、と言っても去年の秋から「右大臣実朝」という三百枚くらいの見当の小説に取りかかって、ことしの二月の末に、やっと百五十一枚というところに漕(こ)ぎつ…