桜桃 (太宰 治)

われ、山にむかいて、目を挙(あ)ぐ。――詩篇、第百二十一。 子供より親が大事、と思いたい。子供のために、などと古風な道学者みたいな事を殊勝らしく考えてみても、何、子供よりも、その親のほうが弱いのだ。少…