ロマネスク (太宰 治)
仙術太郎 むかし津軽の国、神梛木(かなぎ)村に鍬形惣助(くわがたそうすけ)という庄屋がいた。四十九歳で、はじめて一子を得た。男の子であった。太郎と名づけた。生れるとすぐ大きいあくびをした…