人形と狼 (夢野 久作 香倶土 三鳥)

 お腹の空いた狼が野道を歩いて来ますと、遠くに一人の赤ん坊が寝ているのを見つけました。狼は大喜びで走って来てみると、それは誰かが落した大きな人形でした。「ええ、この役立たず奴(め)が」 と狼はあと足で…