恐しき通夜 (海野 十三)
1「一体どうしたというんだろう。大変に遅いじゃないか」 眉(まゆ)を顰(ひそ)めて、吐きだすように云ったのは、赭(あか)ら顔(がお)の、でっぷり肥った川波船二(かわなみふねじ)大尉だった。窓の外は真暗…