罪と罰 (ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ)

第一篇一 七月の初め、方図もなく暑い時分の夕方近く、一人の青年が、借家人からまた借りしているS横町の小部屋から通りへ出て、なんとなく思い切り悪そうにのろのろと、K橋の方へ足を向けた。 青年はうまく階段…